仕入れ備忘録R6.12(ボラの子!今年もカラスミ作るぞー)

言わずと知れた高級珍味!

カラスミ

年に一度この季節に仕込む。

ボラの卵の塩漬けだ。

親と子の格差がここまで激しいのは

ボラくらいだと思う。

トンビが鷹を産むと言う

ことわざがあるが

実際はトンビと鷹は同じ生き物で

大きさで呼び方が違うだけらしい

要するにデッカく育ったトンビは

鷹と呼ばれる事があるとか無いとか!

赤ちゃんの時は皆んな小ちゃいから生まれたばかりの頃は全てトンビと言うのが正解だろう!トンビは鷹を産まないのである!

と自分では思っているのだが

鷹はやっぱり産まれた時から鷹らしい!

ちなみに大きな鷹が鷲と呼ばれるらしい!

鳶と鷹と鷲

いきなり漢字で書けと言われても

書けないが

並べてみるとトンビの漢字が一番弱そうに見えるが

トンビのことわざがとても多いのは

それだけ昔から人間はトンビに馴染みがあったのだろう!

田舎の山で暮らしているがトンビはそこら中飛び回っているがタカなどはみた事がない!

ちなみに自分の奥さんはトンビの巧みな技で焼きたて煎餅を奪われた事がある!それは見事な神業だった。

話しがそれたが

ボラと言う魚は普通あまり食べない!

スーパーにもほとんど並ばない!

何故なら美味しくないからだ!

東京の川などに、たまにボラの大群が海から紛れ込んだりするニュースが流れる!

海と川の境い目などにもウロチョロしている。

安全な場所なのだろう生きるのにもイージーな環境なのだろう!

そんなボラは、とても泥臭いのだ!

煮ても焼いてもかなり無理がある。

そんな泥臭いボラの卵はカラスミになどならないのである。

カラスミを作る事が出来る良いボラは海の沖の方に住んでるのだ!

外敵も多く生きていくのがハードな環境で育ったボラは卵は勿論美味しいカラスミになるのだが

魚としてのポテンシャルも高い。

お刺身でも美味しく食べられる。

洗いと言う手法で酢味噌で食べると最高だ!

鯉の洗いの様な感じだ!

油と相性が良いのでフライやソテーも美味しい!

カラスミは仕込み初めてから食べられるようになるまで大体1ヶ月面倒を見なくてはイケナイ!

油断するとすぐ失敗する。

上手く作るコツはとにかく気を抜かない事に限る

1日でも目を離したり忘れたりすると乾燥し過ぎたりして宜しく無い状態になる。

ざっくり説明するとカラスミは塩漬けして酒漬けして最後に

干して仕上げる!表面だけ先に乾いてしまうので中心まで乾燥させる為にお酒を塗って、こまめに面倒を見なくてはイケナイのだ!

なのでカラスミに手を出してからは

お仕事は休み無しの日が続く!

その期間!都会なら忘年会やらお節料理の仕込みやらが続くのだ!

お料理のお仕事をしている者としては一年で一番働く季節と言う事になる。

カラスミは天気の良い日はお日様にあてる方が良いのだが山の中でカラスミを干すと目を離した隙に

速攻トンビにさらわれる。

まさに闘いだ!

何にせよカラスミを仕込めると言う事は料理のお仕事している人間にとってはとても幸せな事だ!

なんせボラの卵はとても高い!

そう簡単には手が出ない。

今回買ったボラの卵も一箱4万円近くする。

一つが四千円くらいの高級食材だ。

しかもバラ売り場などしないのが普通だ。

自分も40歳を過ぎたあたりから

毎年仕込める様になった!

買ってくれる人がいるからこそ

仕込みが出来る。

年に一度の仕込みなので

自分の人生で自分のやり方で作るカラスミは生涯20回くらい出来れば良い方だろう。

これから年末年始に向けて

どうせ只管仕込みを続けるから

自動的に毎日カラスミを見守る生活になる。

そんな訳で年末年始は奥さんの

お相手もしてあげられないので

奥さんは一人で都会に帰って年越しをする事になる。

年明けは少し落ち着くので

それからが自分のお正月がはじまる。

ゆっくり田舎暮らしをしている

50歳過ぎのオジサンだが

この季節だけは都会の人達並に

せわしない生活を過ごす事になる。